Ladybird girl




登場人物


上条優愛(ゆあ)(17


ギザまる(?)


ゲルゾウオ()


杉山(17


教師(20代)


生徒A17





戦闘に関する描写はあくまで一案だととらえてください。





○校舎裏(昼)

   杉山の顔のアップ。

優愛「で、結局何が言いたいわけ? ……まさか私と付き合いたいとでも言うつもりじゃないでしょうね? あのさぁ、ちったぁ頭使って考えてみたらどうなの。あんたみたいなキモオタとこの超絶美少女の私が釣り合う訳ないわよね。……あ~、段々腹が立ってきた。私も落ちぶれたもんだわ。あのね。私は昔、世界を救ったのよ。本当に。その私が。ドラマや映画のような体験をした私が、なんであんたなんかと付き合わなくちゃいけないのよ!」

   杉山を平手打ちする優愛。

   杉山ははたかれた頬を抑える。

                (FO


タイトル「Ladybird girl


○路地裏(昼)

   薄暗い路地裏、二つの影が衝突を繰り返す。衝撃で周囲のものは破壊されていく。戦闘音が続き、また2体が衝突する音が響く。

                (CO


○街中(昼)

   通りに面した公園。歩道を歩く人波。

手紙を破りゴミ箱に捨てる優愛。

優愛「なんで…なんで私が…こんな…」

   優愛ベンチに座り、俯き、泣く。

   多少顔を上げ、怒りを感じる顔。

優愛「……」

   バッグからカッターナイフを取り出し、刃を出し見つめる。

   衝撃音。

   優愛、音のほうに顔を向けると家々の

間から煙が出ている。


○路地裏(昼)

   煙が立ち込める中。二体の小生物が対峙している。

ギザまる「グゥゥゥ」

   ギザまるが声を上げ、ゲルゾウオに跳びかかるとゲルゾウオは全身から熱線を発する。画面は光に包まれる

                (FO

   走る優愛、路地裏に駆けつけると怪我を負ったギザまるが倒れている。

優愛「……ギザまる!?」


○別の路地裏(夕)

   ホームレスが缶を拾っている。

ホームレス「へへ」

   物音がしてホームレスが音のほうを見ると、ゲルゾウオが浮いている。

ホームレス「な、なんだこりゃ……」

   ゲルゾウオ、ホームレスの体を取り込む。

ホームレス「うわあああ!」

   路地裏に叫び声が響く。


○廃工場(夕)

   頭に濡れタオルを載せられ、目が覚めるギザまる。

   目の前に優愛が居る。

優愛「ギザまる! 気がついたんだね!」

   優愛、ギザまるを抱きしめる。

ギザまる「グァ~」

優愛「絶対また会えると思ってた! 帰ってきたんだね。本当に嬉しい」

ギザまる「グァ~」

   座り込んで話す2人

優愛「……私ね。ギザまるが宇宙(そら)に帰っちゃって本当に寂しかった……だって、誰に話しても信じてもらえないんだもの。そんなことあるわけない。夢でも見たんだろうって。」

ギザまる「グァー」

優愛「実際、夢みたいな出来事だった。あんな事に出会っちゃったら、他にどんな事があっても、大したことなんて思えない。何も刺激がない、退屈な日々、これからずっとこんな毎日が続くのかって思うと、気が狂いそうだったの」

ギザまる「グァ~」

優愛「でも、もういいの、ギザまるとまた会えたんだもの、私、またギザまるの手伝いするよ! 」

ギザまる「グァっ?」

優愛「ギザまるは今、銀河連邦の宇宙犯罪者を追うチームに所属してて、その中でも一番優秀な隊員、で、今回の敵は今まで出会った中でも一番の強敵で、誰かの助けがないと戦えないんだもんね!」

ギザまる「グァっ!?」

優愛「敵はまだこの町に潜伏してる、さぁ! 傷が治ったら早速探しにいこ!」

   ギザまる、ポカーンとした感じ。

   優愛、笑顔。


○街中()

   人々が歩いている。

道行く人に対して次々に質問していく優愛。

優愛「怪獣か宇宙人みませんでしたか?」

   何人かに聞く。


○広場()

   優愛とギザまる、植木の手すりに腰掛け、休む。

優愛「中々見つからないね~」

ギザまる「グァー」

   優愛とギザまるの前をホームレスが通り過ぎる。優愛は何か感じるところがあったのかホームレスに質問しようとする。

優愛「あの~」

   ホームレス、振り向く、空ろな目。

   ギザまる、何かに気づき優愛にやめさせようとする。

ギザまる「グァっ、グァッ」

優愛「え、なに?」

   ギザまるを見たホームレスはギザまるを攻撃しようと手を伸ばす。

   それに気づく優愛。

優愛「危ないっ!」

   衝撃音。

   優愛が地面に倒れる。

   ギザまる、優愛の横に倒れる。

ギザまる「グァッ!」

   優愛に声をかけるギザまる。

優愛「……ギ…ザ……」

   声をかけ続けるギザまる。

   その後ろからホームレス(ゲルゾウ

オ)が襲い掛かる。

ギザまるの全身が光る。

優愛、光に包まれる。

ゲルゾウオは手を刃物状に変化させて

ギザまるに切りかかる。

金属音。

ギザまるの体に刃が当たっているがま

ったくダメージはない。

ギザまるの体が硬質化していく。

ギザまる「グウゥゥゥゥ!」

   ゲルゾウオ、狼狽する。

   ギザまるの突貫攻撃。

   ゲルゾウオの体は吹っ飛びごみの山に突っ込む。

   ばらばらになったゲルゾウオの破片が散らばる。

優愛「やった! ……あれ?」

   優愛、飛び起き、自分の体が治癒していることに気づく。

優愛「ギザまる。ありがとう」

ギザまる「グァ~」

   

   十数人の男女が授業を受けている。

   杉山も居る。

教師「あ~、皆も知っていると思うが、昨日から上条が行方不明になっている、警察や親御さんも必死に探しているが…

…なにか知っていることがあったら教えて

欲しい」

   杉山、驚いたあと、真剣なような心配しているようなそんな顔を浮かべる。

   チャイムが鳴る。

生徒「起立、礼」

   皆が立ち、次々に帰っていく。

   その中一人杉山、いすに座ったまま。

   何か考えている表情。


ビンのような容器にゲルゾウオの破片が入っており、それをギザまるが持っている。

   対面している優愛。

優愛「ギザまる、これからどうするの?」

ギザまる「グァッグアッ」

   空を指差すギザまる。

優愛「……そう……だよね」

ギザまる「グア~」

   ギザまる、空に浮かびだす。

   見ている優愛。

優愛「ギザまる……あの!」

ギザまる「グア?」

優愛「……お願い! 帰らないで……ずっとここに居て」

   ギザまるの足を握る。

ギザまる「グアッ!?」

   ギザまる、すこし考える。

ギザまる「グア……」

   ギザまる、優愛の頭を撫でる。

   優愛、笑顔で顔を上げる。

優愛「居てくれるの?」

ギザまる「……グア~」

   ギザまる、首を振る。

   優愛失望した顔になり、下を向く。

ギザまる「グア~」

   ギザまる、優愛を慰めようとする。

   優愛、俯いた横顔。髪に隠れ眼は見えない。

ギザまる「グアッグアッ」

   ギザまる、優愛を慰めようとする動き。

優愛「……」

   優愛、動かない。

   優愛が思う現実(絶望)の映像がフラッシュバックする。最初はゆっくりから、ギザまるが慰める自分の映像が間に挟まれスピードアップしていき。

   優愛は突然ギザまるが持っているゲルゾウオビンを奪い取り、道にたたきつけビンを割る。

ギザまる「グアッ!?」

   ギザまる、おどろきビンを拾い集めようとする。

   それを見下ろす優愛。

ギザまる「グア~」

優愛「ごめんね、ギザまる」

ギザまる、顔を上げようとする

優愛、バッグからカッターナイフを取り出す。(一瞬)

暗転、刺突音。

ギザまる「ギアアァアアアアアア!」

   ギザまるの絶叫。


   街を歩く人々。

   通行人に杉山が何かを聞いている。

   通行人、首を振る。

   杉山、礼を言う動きをし、歩き出す。

   横顔のアップ。

   ギザまるの叫び。

   杉山、何かに気づき走り出す。


   血を流し、倒れているギザまる。

   優愛、それを見下ろしている。

   道に散らばっていたゲルゾウオの破片が動き出し、優愛にくっついていく。

優愛「私も、すぐに行くから」

   優愛、ゲルゾウオと完全に融合、手が変化し刃状になる。

ギザまる「グ……あ……」

   優愛を空ろに見るギザまる。

   優愛、刃を振り下ろす。

ギザまる、刃を受け、血が噴出す。

ギザまる「アアウ……! グ……グウウウウ!」

   ギザまる、刃を受けた状態で全身が振るえ、力をこめる。

優愛「……!?」

ギザまる「グアアアアア!」

   ギザまるの叫びと共にギザまるの全身が変化する。

   ギザまる、真の姿になる。

優愛「ギザまる……私と戦おうっての!?

(空ろから怒り)……上等じゃない!」

   バトル

   最初は互角、徐々にギザまるが押していく。

   優愛、倒れる。

   ギザまる、優愛、に一撃を与えようとする、が、直前で止める。

   優愛笑い、反撃し、ギザまる、一転してピンチに。

優愛「(ギザまるに一方的に攻撃しながら)なんで……なんで誰も私を助けてくれないの!?ギザまる!あんたも!何で私に、何で私の所に来たのよ!」

優愛の一撃、ギザまるは吹っ飛ばされ傷だらけ。

優愛「……」

   優愛、改めてギザまるに止めを刺そうとするが、傷ついたギザまるを見る。

優愛「……ギザまる……」

   ギザまる、優愛の顔をみる。

   優愛、涙を流している。

   ギザまる、何かを感じる。

   優愛の刃が振り下ろされる。

   衝撃音。

   ギザまるのこぶしが優愛の脇腹にクリーンヒットしている。

優愛「がっ……は……はぁ……はぁ……」

   優愛、ギザまるを見て、なにかを感じ、その後、気絶する。

   ゲルゾウオの破片が地に落ちる。

   ×    ×    ×

   走る、杉山、現場に駆けつける。

   ギザまるが優愛を抱えている。

   杉山、驚く。

   ギザまる、優愛を抱えゆっくりと杉山に近づく。

   ギザまる、杉山の眼を見る。

   杉山、ギザまるの眼を見る。

   ギザまる、杉山に優愛を渡す。

   呆然とする杉山。

   ギザまる。ゆっくりと歩き、そのまま消えていく。

   杉山、優愛を抱え、取り残される。


   優愛、眼を覚ます。

   起き上がり横を見ると杉山が座っている。

   呆然とする優愛、少し考え、頭を抱える。

優愛「……最悪……最悪でクソで屑で間抜けで馬鹿、ゴミ、カス! ……」

   杉山、黙って横で優愛を見ている。

   優愛、頭を抱えぶつぶつ言っている。

優愛「……何で殺してくれなかったのよ……」

   杉山、表情が変わる。

優愛「なんで……」

杉山「なんでそんな事言うんですか」

優愛「え?」

杉山「ぼ、僕は、あなたのことをほとんど何

も知らない、でも、追い詰められてること

はわかります、教えてください。僕にでき

ることならなんでもします。お願いします。

あなたの力になりたい。絶対に裏切りませ

ん」

   優愛、呆気にとられる。

優愛「……」

   杉山、優愛が引いているのに気づき

杉山「あ……す、すいません……訳のわかんない事言って……」

優愛、前を見て

優愛「……なんだったっけ……」

杉山「え?」

優愛「あんた……私のどこが好きって言って

たっけ」

杉山「え……え~とそれは……いくらでもありますけど、きっかけは今年の5月に……」

   杉山、しゃべり始める。

   優愛、無表情で聞いている。


(終わり)

(二百字詰め二十枚